いびき症 三兄弟
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 駆け出しの頃、顎関節強直症という口の開かない病気の手術をした。頭蓋から下顎を切り離すと大きく口が開いて自由に噛めるようになった。しかしながら、術後のリハビリが終わる頃、突然に譫妄(せんもう) 状態となった。手術後より、大きないびきをかき、体動も激しかった。友人の内科医と原因を探ったところ、睡眠時に呼吸障害があって夜間一睡もしてないことが判明した。
 これが、およそ十五年前に筆者が経験した初めての閉塞型睡眠時無呼吸症候群の症例である。当時は現在のような治療法はなく、ただただ経過を見守るしかなかった。ところが、その数ヶ月後に完治した。顎関節強直症が再発して再び口が開かなくなったからである。
 以来、顔の骨格に注目することにした。肥満が原因と言われる閉塞型睡眠時無呼吸症候群が、体重とは無関係に、手術による顔面骨格の変化と伴に発症し、その変化が元に戻ることによって治癒することに興味を抱いたからである。

 本書は、前述の第一症例から二千例弱にまで至った筆者の経験を基に、閉塞型睡眠時無呼吸症候群という堅苦しい病気の診断法や治療法について医学書では珍しいコミックという手段でできるだけわかり易く書いてみた。この本が、患者様ばかりでなく医師、歯科医師、臨床検査技師など睡眠医療に携わる方々にも役立つことを願ってやまない。
2003年(平成15年)5月
河野 正己

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